【バーチャルリアリティ学】 1.1 バーチャルリアリティとは何か
はじめに
本ブログはバーチャルリアリティ学の内容を簡単にまとめたものです。学んだ内容の再確認的な感じの内容になっています。
1.1.1 バーチャルの意味
・英語本来の意味
バーチャル(virtual)は、バーチュー(virtue)の形容詞
virtual = 表層的にそうではないが、本質的はそうである
= "Existing in essence or effect though"「みかけや形はそのものではないが、本質あるいは効果としてはそのものであること」
virtue = 徳、善行、長所あるいは効力
バーチューの原義 = その物をその物として在らしめる本来的な力
・日本語の意味
バーチャル(仮想)= "supposed"、"hypothetical"
バーチャル(虚像)= "image"、"imaginary"
本来の意味(使い方)は
バーチャル(virtual):実質、本質 ←反意語→ ノミナル(nominal):名目、表層
実(real) ←反意語→ 仮想(supposed)
1.1.2 バーチャルリアリティとその3要素
「現実のエッセンス(要素)」=バーチャルリアリティ(抽出された現実)
すべての要素のうち、その目的にとって重要な要素、すなわちエッセンスだけを抽出したものがバーチャルリアリティ
目的によって重要となるエッセンスは異なる
例)「バーチャル・ヘリコプター」の場合
目的 | エッセンス |
操縦士のトレーニング | フライトシュミレーターによるトレーニング |
ヘリコプターに乗ってみたい | ゲームマシンによる乗車感覚 |
荷物の輸送 | 気球による荷物の輸送 |
バーチャルリアリティに必要な3要素
①「3次元の空間性」
コンピュータが生成した立体的な視覚空間、立体的な聴覚空間が人間の周りに広がる。
②「実時間の相互作用性」
人間が、コンピュータが生成した空間のなかで、環境との実時間(Real time)の相互作用(二つ以上の存在が互いに影響を及ぼしあうこと)をしながら自由に行動できる。
例)コンピュータゲーム
③「自己投射製」
人間と、生成した環境とが矛盾なくシームレスにつながって、あたかも自分が環境に入り込んだような状態。
人間は目を瞑った状態で自分の手があると思った位置に、見るとそこに自分の手がある。=人間の異なる感覚モダリティ(modality)間に矛盾がない、現実空間の特徴。
◎バーチャルリアリティとは、上記の三要素を有したシステムを構成して、人間が実際の環境を移用しているのと本質的に同等な状態でコンピュータの生成した人工環境を利用することを狙った技術である。
1.1.3 バーチャルリアリティと人間の認知機構
バーチャルリアリティは、”それ”が”そこ”にない(現前していない)にもかかわらず、観察する者にそこにあると感じさせる(同一の表象(イメージ)を生じさせる)もの。
⇒ではなぜ、現前しないにもかかわらず、同一の表象を生じさせられるのか?そもそも人間はどのようにして世界を見ている?
人間が捉えている世界と思っているものは、人間の感覚器を介し、かつ人間の認識機構のアプリオリ(先験的)な仕組みによって、認識している。要するに、直接世界を見ているというわけではなく、認識した物は、脳に投影された物自体の写像にすぎない。
そこで、現前しない空間の情報の本質部分を人間に与えることによって、現前する場合に生じるのと等価な現象空間を生じさせる。
人間が認識することができる世界
視覚:電磁波のうちの光の0.38㎛~0.78㎛
聴覚:空気の振動のうちの20Hz~20,000Hz
バーチャルリアリティ:人間の周りに別の空間ができる
テレイグジスタンス:自分の方が別の空間に移動すること
1.1.4 バーチャルリアリティの概念と日本語訳
- 実は、バーチャルリアリティという概念はわが国にはまったく存在していなかった。中国にもそれを表す漢字がなかった。
- 言葉の概念を正確につかみ、異なる意味を持っていることによる危険性を知る必要がる。東洋と欧米では似ているようでまったく意味が違うから気をつけろ。
- バーチャルリアリティは、そのままカタカナで表記するのが良い。もし日本語に訳したいのなら「人口現実感」。
1.1.5 道具としてのバーチャルリアリティ
- バーチャルリアリティは、"3C"と"3E"のための道具である。
3C:Creation(想像)、Control(制御)、Communication(通信)
3E:Elucidation(解明)、Education(教育)、Entertainment(娯楽)
まとめ
バーチャル=仮想みたいなイメージがこれまでずっとありましたが、認識を改めることができました。あと、人間の感覚ってなんか思ってた以上にガバガバなんですね...