【バーチャルリアリティ学】2.1脳神経系と感覚・運動

はじめに

 本ブログはバーチャルリアリティ学の内容を簡単にまとめたものです。学んだ内容の再確認的な感じの内容になっています。

 

バーチャルリアリティ学

バーチャルリアリティ学

 

 

 

2.1.1 脳神経系と解剖学的構造と神経生理学の基礎

大脳:バーチャルリアリティにとって重要な感覚や知覚を担う。

小脳:運動や姿勢の制御および運動学習に重要な役割を果たしている。

脳幹:延髄と橋から成り、生命の基本的な維持機能を司る。

大脳

大脳皮質の皮下組織

  • 大脳基底核:大脳皮質と視床や脳幹との間を中継する役割
  • 辺縁系:情動・意欲・記憶・自律神経活動に関わる役割

中心溝

  • 大脳半球の登頂から下方に走る大きな溝

一次体性感覚野

  • 後部の頭頂葉後頭葉(感覚入力体性感覚『somatic sansation』を受容)

二次体性感覚野

  • 一次体性感覚野の後部にある
  • より高次の信号処理
  • 頭頂連合野において、他の感覚情報(視覚・聴覚など)と連合させる

一次運動野

  • 中心溝の全部の回に存在
  • 体の領域に対応した運動指令を体の筋肉に向かって発する

感覚野および運動野の神経は途中の延髄で交差しているため、右脳が左半身を、左脳が右半身を支配している

頭頂連合野

  • 空間知覚(space perception)に重要

視覚情報

  • 網膜から入る ⇒ 外側膝状態を経由 ⇒ 後頭葉の一次視覚野(V1)に投射。両眼視差(binocular display)に対応する左右眼球からの神経経路の差はV1まで保持 ⇒ 分業的・分析的に高次処理される

運動の方向・回転などに選択性を持つ領域や、物体の携帯認識や顔の認識に重要な領域に分かれる

 

2.1.2 知覚・認知心理学の基礎

バーチャルリアリティにとって重要なのは感覚と知覚に関する心理学

大きさや奥行きをどのようにして知覚しているのか

人間は平面画像からも立体的な情報を知覚できる

⇒なぜ? = いくつかの手がかりを活用しているため

  • 単眼手がかり

:陰影、重なり、線遠近法、大気遠近法、きめの勾配、経験的な物体の相対的大きさ、対象物の運動が距離によって異なることを使う運動視差、遠近で異なる水晶体厚さの調節

  • 両眼手がかり

輻輳(Convergence)、両眼視差

   :両眼である点を凝視したときより目になる状態。角(輻輳角:両眼からの二つの視線と凝視点で作られる角)が凝視点アデノ距離が近づくにつれて大きくなる

  • 両眼視差:同じ対象物から得られる両眼に対応することなる画像。両眼に独立に提示したとき二つの画像が脳の中で融合して立体的に知覚させる

バーチャルリアリティを実現するうえで関係の深いものに大きさの恒常性がある

  • 知覚の恒常性:同一物体でも、距離によって網膜上の大きさが異なって、人間はこれを同一の大きさだと知覚できる。形、色、明るさも同じ。この知覚の恒常性があるため、HMDを使っても、すぐに適応できる。

 

2.1.3 感覚と運動

運動の知覚:眼球が静止しているときの網膜上の対象物の移動と、移動する物体を眼球を動かすことによって追跡する行為

知覚不可な運動:あまりに遅い運動(視覚にして1~2`/s以下)

        早すぎる運動(35deg/s以上)

実際の運動と知覚される運動の不一致

  • 誘導運動(induced motion):月夜の空に流れる雲を見ていると、雲が止まって月が雲の動きと逆方向に動いて見える現象
  • 自己運動感(vection):実際には静止しているが、視覚情報によって移動しているかのように錯覚すること。加速度を感じる前庭感覚と対比することにより自分が移動していないことがわかる。HMDを装着した際、適切な映像を表示させなければ酔いを引き起こす
  • 仮想運動(apparent motion):二つの離れた線分が短い時間(約60ms)で交互に点滅すると、それらが移動して見える

 

まとめ

 人間の脳だったり神経の仕組みを知るというのはVRを学ぶ上でまず避けては通れない道なので、ここでしっかりと頭に叩き込んでいこうと思います。

【バーチャルリアリティ学】 1.3 VRの歴史

はじめに

本ブログはバーチャルリアリティ学の内容を簡単にまとめたものです。学んだ内容の再確認的な感じの内容になっています。

 

1.3 VRの歴史

約1万8000年前:ラスコー洞窟の壁画。

  • 馬や羊、牛などのあざやかな色彩画が壁一面に描かれており、祭祀用の儀式などが行われる空間として使われていたと考えられている。

⇒一種のバーチャル世界へ導く役割を果たしていたと考えられる。

18~19世紀:全天周絵画のパノラマ。(ヨーロッパで生まれた)

  • イギリスの画家Robert Barkerによってはじめられた手法。
  • 360°の全周の絵画を大型のキャンパスに描き、鑑賞者はシアター中央の展望台から周囲に円筒状に置かれた絵画を見る。
  • 暗闇の通路を通って展望台まで案内(鑑賞者を現実から切り離すため)
  • 絵画の前に前景として人口のオブジェクトを配置
  • 現実の寺院を模した展望台を構築
  • ロール式の絵を巻き取りながら動かすことで、絵画を用いながら動画を表現する「ムービングパノラマ」

1960年代:VR黎明期

 コンピュータグラフィックス

1968年:I.Sutherland、HMDを開発

  • 最初のHMD「Ultimate Display」:光学式シースルーシステム
  • 頭の回転を計測(左を向けば左側にある映像、右を向けば右にある映像を見ることができる)できるインタラクティブディスプレイ装置
  • 線画によって描かれた単純なCG

 インタラクティブアート

1969年:M.Krueger 「METAPLAY」

  • 鑑賞者の姿を撮影し、作品の映像に合成反映させることにより、映像が鑑賞者に反応して動く

 体感型ゲーム

1963年:M.Heilig 「SEN-SORAMA」

  • 街中をバイクに乗って走り回る体験型ゲーム
  • 状況の変化に応じて音響や椅子の振動、ファンによる顔への風の提示、風景に合わせた匂いの提示が可能

1980年代:バーチャルリアリティ発展期

 航空宇宙分野

1982年:米国空軍のT.Furnessらによって「VCASS」が開発

  • ヘルメット型のHMD
  • 戦闘機用のスーパーコックピットの開発が行われた

 ヒューマンインターフェース

1981年:MITのMedia Lab 「Media Room」

  • 部屋全体をコンピュータ端末として利用
  • 壁面スクリーンに表示された情報を、音声、ジェスチャ、ジョイスティックなどで操作
  • 空間型インターフェース概念の提唱

1985年:NASAのM.McGreevy、S.Fisherらによる「Virtual Enviroment」の概念の提唱

  • 宇宙船内の3次元空間をバーチャルディスプレイ環境として使用する

 ロボット工学

1982年:機械研究所、テレイグジスタンス概念の提案

  • マスタースレーズ型のロボット「TELESAR」の開発

1983年:米国海軍海洋システムセンターのJ.D.Hightower、テレプレゼンスロボット「Greenman」開発

 

まとめ

 VRなんていう言葉・考えは割と最近のものなのかと思っていましたが、遡ってみるとかなり昔にそれらしいものは存在していたんですねー驚きです。

 2016年はVR元年(これ毎年言ってる気がする)なんて呼ばれていましたが、十数年前にも似たような時期はあったんですね。

【バーチャルリアリティ学】1.2 VRの要素と構成

はじめに

本ブログはバーチャルリアリティ学の内容を簡単にまとめたものです。学んだ内容の再確認的な感じの内容になっています。

 

1.2.1 VRの基本構成

①出力システム(ディスプレイ):システムからユーザへ五感情報を流すための装置。

②入力システム:運動系を介してユーザからシステムへ情報を入力する装置。

③シミュレーションシステム:VR世界を構成するための装置。(リアルタイムに相互干渉する世界=リアルタイムシミュレーションの仕組み)

この3つの構成要素が円滑に組み合わさり、感覚入力と捜査のループがうまく構成されたとき、私たちは現実感を感じることができる。

 ⇒これがVRと呼ばれる現実感や臨場感を合成する技術の本質的部分。

 

1.2.2 VR世界のいろいろ

シミュレーションシステムの原初的な定義は「計算機で合成された世界」

 ⇒このシミュレーションシステムの部分が完全に計算機内部でとじられたものなのか、あるいはそれがどれほど人為的に作りこまれたものなのかなど、いくつかの状況を考えることができる。

シミュレーションゲーム=100%VRのために作りこまれた世界(100%計算機)

 ⇒最も単純かつ教科書的なVR世界

テレイグジスタンス・テレプレゼンス:遠方の世界がVR世界に接続されること。ここでいうVR世界は、現実世界同士をつなぐメディア的存在となる。

 

1.2.3 VRをどうとらえるか

AIPキューブ:VRにおける3つの要素、Autonomy(自立性)、Interaction(対話性)、Presence(臨場感)をそれぞれ1~0の数値で表したもの。(1,1,1)が究極のVR

  • Autonomy(自立性):シミュレーションシステム
  • Interaction(対話性):入力システム
  • Presence(臨場感):ディスプレイ(出力システム)

現存する多くの電子メディアは、究極のVRには距離がある。

例:オムニマックスシアター(全天周シアター)=(0,0,1)、ゲーム=(0.5,0.5,0.5)

ヒューマンインターフェイス

 これまでの人とシステムの関係:体面的、大三人称視点的に眺めている状態。

 VRとの関係:第一人称体験、インターフェイスの方式が身体的、現実世界の規則性を前提とした操作。ユーザはシステムに包含され、内側から眺める状態。記号的恣意性がほとんど存在しない。

 

まとめ

 VR世界を作り上げるっていうのも、話だけ聞く限りだとかなり難しそうですね..

いかにして現実感、臨場感のある世界を作れるか、そこが重要になってくる感じですね。

【バーチャルリアリティ学】 1.1 バーチャルリアリティとは何か

はじめに

 本ブログはバーチャルリアリティ学の内容を簡単にまとめたものです。学んだ内容の再確認的な感じの内容になっています。

 

1.1.1  バーチャルの意味

 ・英語本来の意味

  バーチャル(virtual)は、バーチュー(virtue)の形容詞

  virtual = 表層的にそうではないが、本質的はそうである 

                  = "Existing in essence or effect though"「みかけや形はそのものではないが、本質あるいは効果としてはそのものであること」

  virtue = 徳、善行、長所あるいは効力

  バーチューの原義 = その物をその物として在らしめる本来的な力

 

 ・日本語の意味

  バーチャル(仮想)= "supposed"、"hypothetical"

  バーチャル(虚像)= "image"、"imaginary"

  本来の意味(使い方)は

 バーチャル(virtual):実質、本質 ←反意語→ ノミナル(nominal):名目、表層

 実(real) ←反意語→ 仮想(supposed)

1.1.2 バーチャルリアリティとその3要素

 「現実のエッセンス(要素)」=バーチャルリアリティ(抽出された現実)

 すべての要素のうち、その目的にとって重要な要素、すなわちエッセンスだけを抽出したものがバーチャルリアリティ

 目的によって重要となるエッセンスは異なる

 例)「バーチャル・ヘリコプター」の場合

  

目的 エッセンス
操縦士のトレーニン フライトシュミレーターによるトレーニン
ヘリコプターに乗ってみたい ゲームマシンによる乗車感覚
荷物の輸送 気球による荷物の輸送

 

 バーチャルリアリティに必要な3要素

①「3次元の空間性」

コンピュータが生成した立体的な視覚空間、立体的な聴覚空間が人間の周りに広がる。

②「実時間の相互作用性」

人間が、コンピュータが生成した空間のなかで、環境との実時間(Real time)の相互作用(二つ以上の存在が互いに影響を及ぼしあうこと)をしながら自由に行動できる。

例)コンピュータゲーム

③「自己投射製」

人間と、生成した環境とが矛盾なくシームレスにつながって、あたかも自分が環境に入り込んだような状態。

人間は目を瞑った状態で自分の手があると思った位置に、見るとそこに自分の手がある。=人間の異なる感覚モダリティ(modality)間に矛盾がない、現実空間の特徴。

  ◎バーチャルリアリティとは、上記の三要素を有したシステムを構成して、人間が実際の環境を移用しているのと本質的に同等な状態でコンピュータの生成した人工環境を利用することを狙った技術である。

 

1.1.3 バーチャルリアリティと人間の認知機構

 バーチャルリアリティは、”それ”が”そこ”にない(現前していない)にもかかわらず、観察する者にそこにあると感じさせる(同一の表象(イメージ)を生じさせる)もの。

 ⇒ではなぜ、現前しないにもかかわらず、同一の表象を生じさせられるのか?そもそも人間はどのようにして世界を見ている?

 人間が捉えている世界と思っているものは、人間の感覚器を介し、かつ人間の認識機構のアプリオリ(先験的)な仕組みによって、認識している。要するに、直接世界を見ているというわけではなく、認識した物は、脳に投影された物自体の写像にすぎない。

 そこで、現前しない空間の情報の本質部分を人間に与えることによって、現前する場合に生じるのと等価な現象空間を生じさせる。

 人間が認識することができる世界

視覚:電磁波のうちの光の0.38㎛~0.78㎛

聴覚:空気の振動のうちの20Hz~20,000Hz

 バーチャルリアリティ:人間の周りに別の空間ができる

 テレイグジスタンス:自分の方が別の空間に移動すること

 

1.1.4 バーチャルリアリティの概念と日本語訳

  •  実は、バーチャルリアリティという概念はわが国にはまったく存在していなかった。中国にもそれを表す漢字がなかった。
  •  言葉の概念を正確につかみ、異なる意味を持っていることによる危険性を知る必要がる。東洋と欧米では似ているようでまったく意味が違うから気をつけろ。
  • バーチャルリアリティは、そのままカタカナで表記するのが良い。もし日本語に訳したいのなら「人口現実感」。

 

1.1.5 道具としてのバーチャルリアリティ

3C:Creation(想像)、Control(制御)、Communication(通信)

3E:Elucidation(解明)、Education(教育)、Entertainment(娯楽) 

 

まとめ

 バーチャル=仮想みたいなイメージがこれまでずっとありましたが、認識を改めることができました。あと、人間の感覚ってなんか思ってた以上にガバガバなんですね...

VR技術者認定試験 合格に向けて

はじめに

 2019/7/13に行われる「第16回VR技術者認定試験(セオリーコース)」に向けて、本ブログを書いた今日(2019/5/23)から大体1か月くらいかけて「バーチャルリアリティ学(図1.)」の第1章から第4章までの内容をこのブログにちょっとずつまとめていこうと思います。

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図1.「バーチャルリアリティ学」 コロナ社 2010/12/16

VR技術者認定試験についてはこれ↓

vrsj.org

 

もし、サボるもしくは諸事情により投稿できなかった場合は後日書けなかった分も含めてまとめておきます。

 

おわりに

 誰かに見てもらうことが目的ではない(主に学んだ内容のアウトプットが目的)のですが、まとめる以上、誰が見てもとりあえず分かるような文にはなるよう心掛けていきます。(意味の分からんこと的外れなこと書いてたらごめんなさい..指摘していただけたら嬉しいです)

 

 これから約1か月、頑張っていきまーす

ではノシ

 

【追記】

無事合格できました

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